SWR測定(実測)

前回は、ダミーロード(純抵抗50Ω)で測定してみましたが、
今回は、実際に運用中のアンテナを使って測定して見ましょう。
先ずは、無線機を接続して通常使っているSWR計で測定してみます。

SWRって何?て事になると思います。
アマチュア無線等の電波を送信するのが趣味(仕事)の方は、知っておく必要がある数値です。
SWR(定在波比)簡単に言うと、アンテナが使おうとする無線機の周波数にマッチングするかどうかを表す指標ですん。
送信された電波(進行波電力)とミスマッチにより反射して戻ってくる電波(反射波電力)の比率になります。
一般にSWRは 1.5 以下が理想、 3 以下が実用上の限界とされてます。
下のメータの一番上のスケールで、3以上に赤いラインが書かれてるのが解ると思います。
信号源側のVSWRが1のとき、負荷側のVSWR = 1.5 で電力効率は 96 %、VSWR = 3 で 75 %となります。
SWR計が、1.5を示した場合、そのアンテナからは、4%の電力が反射されて戻ってくる・・・
この数値が多いと、反射波として戻ってきた電力で、無線機そのものが破壊されてしまう事もあります。
無線機破壊を防ぐために、SWR 1:1.5以下を目標に調整する必要が有る訳です。
数値的な目標は、1:1.5以下なんですが、送信出力によっては、もう少しシビアになりますね。
1W出力なら反射は、40mW (0.04W)になりますが、100W出せば4W反射で帰ってきます。
1KWとかなると、40Wが反射で戻る事に・・・
出力が上がると、反射波によるダメージも大きくなりますから、もう少しシビアな調整が必要そうです。

最初に144MHz帯のサブアンテナからです。
測定周波数は、145.04MHz
CALでフルスケールに合わせて・・・・

SWRに切り替えると、ご覧の通り反射波が非常に少ないのが解ります。
針が、ピクリと動く程度です。
1:1.05以下です。

今度は、430MHz帯域に合わせてCAL。
測定周波数は、433.04MHz

144MHz帯よりチョットだけ針が振れますが、ほぼ許容範囲。
1:1.1程度でしょうか。

次に無線機を外して、NanoVNAをアンテナに接続、先日キャリブレーションした情報を
呼び出して、144MHz~146MHzのSWRをモニターしてみました。
無線機から電波を出さなくても、設定帯域を範囲で測定出来るところが便利です。
なんと、ピッタリフラット中点の145.00MHzの数値が1:1.00、あまりにも理想的すぎます。
あまりにピッタリフラットなので、他のポイントを測定する必要も無さそうです。

次は、430MHz帯域をモニターしてみます。
430MHz~440MHz少し波があります。
先ほどのアナログ測定と一致してます、433.000MHzが1.09です。
呼び出し周波数の433.00MHzは非常に良く調整されていて、1:1.09です。
ほぼ、全帯域、1:1.5以下になってますが、440MHz付近で少し反射が増えてます。
それでも、使えないレベルではありません。

それでは、メインアンテナに切り替えてモニターしてみます。
NanoVNAの測定値が信頼できそうなので、アナログ測定は行いません。

サブアンテナに比べると、ピッタリとは行きませんが、
144MHz~146MHzの全帯域で、1:1.5以下に抑えられてます。
呼び出し周波数、145.00MHzでは、1:1.21、交信には、上の方を使えば効率よさそうです。

さて、次は、メインアンテナの430MHz帯域です。
フラットとは行きませんが、430MHz~440MHzの全帯域で、1:1.43以下に抑えられてます。
何処でも気にせず使えそうです。

最後に、1200MHz帯の測定です。

こちらも、ほぼ全域で使って問題無さそうですが、1297.20MHzあたりで反射波が多そうです。
それでも、1:1.63ですから十分実用範囲と言えます。

今回の実験で、電波を発射する事無く、アンテナの調整が可能な事が解りました。
不要な電波を発射しませんし、無線機の電波送信が必要無いので電源も必要ありません。
移動運用とかアンテナを先に調整出来るので便利です。
次回は、もう少しマニュアルを読み込んで、フィルタ特性とか測定してみたいと思います。

無線

Posted by papas